稲やんの創作 小説集

相馬龍太郎。やがて還暦を迎えようとしている。精神障害者の身で毎日ダラダラと精神科のデイケアに通う日々である。そんな折看護大学から実習生として3人がやって来た。その一人田中由美の顔を見た時に相馬龍太郎は記憶が蘇ってきた。二十歳の頃。結婚の約束をして一晩を共にした片桐康子に面影が似ていた。龍太郎は突然。感情異常という病に襲われて消息を絶った。気が付いたときは精神病院の中にいた。それっきり40年間外の世界に出る事はなかった。龍太郎は偶然にも職員から田中由美の実習生に色んな人生経験を語ってくれと頼まれる。いつしか